泣顔

escargotskin2011-02-02

買い物から帰ってきて、マンションのエレベーターに乗った。
もう一人、キャップをかぶったスポーティーな女の子がグホッグホッと
咳をしながら一緒に乗ってきた。
内心「咳をする人とエレベーターなんてやだな。」と思ったや否や
突然顔を手で覆って「うへへへーん!」と泣きはじめたので驚いた。
そうか、咳は泣き声を悟られないためのカモフラージュの空咳だったのか。
顔をよく見なかったからよくわからなかったけれど女の子は10代後半か、20代。
泣きながらエレベーターの一隅で崩れ落ちるみたいにしゃがんだ。


私も小学校低学年のとき、似たようなことがあったことを思い出す。
手を後ろに組んで歩くのが癖だった。
でも、「そのポーズ生意気」だとか「偉そー」だとか
そういうことを上級生に言われながら下校した日があった。
私はたぶん、生意気で偉そーな小学生だったに違いない。
気にせず、いつもの歩調で歩いていた。
でも家の玄関のドアの前に立った途端に涙が溢れてきて止まらなくなった。
自分でも自分の感情がわからなかった。
気にしてないつもりだったのに、
こんなに激しくしゃくり上げて泣いている自分は
一体誰なんだろう。


母が驚いていて理由を聞いてきた。
理由なんて、いつもくだらない。


「今日は13日の金曜日っていう、悪いことがある日なのよ。」
ちょっと安心したように教えてくれた。


今でも私は13日の金曜日がちょっと嫌いだ。