蜘蛛

escargotskin2010-10-18

ヨーグルトに蜂蜜を垂らそうと容器を手に取ったら
小さい蜘蛛がとまっていたので、しばらく魅入っていた。
蜘蛛を美しいと思ったのは、はじめてかも知れない。
『私、蜘蛛柄には目が無いののよね。』
と蜘蛛のヘアピンかブローチかを買っていた綺麗な人との
買い物中の一瞬がふと脳裏に蘇った。


出会った時は爽やかなリゾート地を思わせる乙女ファッションだったのに
随分変わったと、そのとき思った。
よく見てみると、彼女の全身が蜘蛛柄、あるいは蜘蛛の巣柄だった。
そう言えば、あの綺麗な人はもうこの世にいない。


蜘蛛がひらりと移動したので思わず反射的に
手近にあったタッパーで蓋をして捕まえてしまった。
もう少し、眺めていたい。
タッパーは半透明なので
クリアなペットボトルに移し替える。
お腹のほうはピンクっぽいブロンズ色で背側が真っ黒。


ペットボトルに顔を近づけて観察していると
蜘蛛が私に向かって前足と触覚をせわしなく動かすので
「さっさと出せー!」と言われているような気がしてくる。
ごめんね、もうすぐだから。