考現

自転車で誰かに走って追いかけられる夢で目が覚めた。
追いつかれる直前で夢から逃げてしまったけれど
目が覚めてからしばらく、夢の中に置いて来てしまった私のことが心配だった。

完全に思考回路が夢に持って行かれてしまっている。
だけど夢の中に戻る勇気は無い。


……。


その侭、しばらく天井を見つめていると
ずっと忘れていた昔のことを思い出した。



高校生のある朝、父親と電車に乗った。
父親は普段は自動車通勤だったけれど
いつもは会社の帰りに飲みに行くことのないひとで
年に二回会社で飲み会があるので、
飲酒運転をしない為に年に二日だけ電車で通勤する日があった。

つり革を持って電車に揺られていたら後ろの人がずっと鼻をすすっていて
鼻をこすった指を何度も私の腰になすりつけてきた。

私は硬直していたけれど 
父親はそれに気が付かなかった。

気付かなかったのだと思う。



気持ち悪い話でご免なさい。

でも
いざという時には誰も助けてくれないのですね。