斜陽日記読了

escargotskin2009-10-03

高校生の頃、眠る前に一時期毎日読んでいた太宰治の「斜陽」。
ランダムにどの頁から開けても美しい文章で、好きだったの。

そのもとになった太田静子の「斜陽日記」を読みました。
こっちはフィクションじゃない,リアル。
リアルだけど夢のように優しい。

だけど「斜陽」と「斜陽日記」を読み比べると太宰が何を表現したかったか。
文筆家としての筆力。
太田静子への理知的な愛情さへ感じられるようで

やはり余計に「斜陽」が好きになってしまいそう。
太田静子と太宰治の子、太田治子さんが生まれて半年後に
太宰は玉川上水に入水している。
入水の日、太宰の文机の上にはきちんとこの日記が置かれてあったということ。

「こひしいひとの子を生み、育てるということは私の道徳革命なのでございます。」

という太田静子をおいて
夫人をおいて
山崎という人と入水する太宰。

「斜陽族」という言葉が流行るくらいの当時ベストセラーになってしまったことは
沢山の人のこころに重荷を読んだのかも知れない。
でもそれは、真心のこもった真実が描かれていた証拠とも言える。