靴屋

escargotskin2011-09-27

靴好きな叔母と高級靴店の前を通ったとき、
足が止まったので
『お店のなか入る?』と聞いた。
『やめておくわ、あなたにはまだ可能性が有るかも知れないけれども
私にはもう可能性が無いから。』
とお店を冷やかすことすら辞退した。


金銭面のことだけではないのだろう。
世間体とか、意欲とか、肉体的なこと。その他に叔母は
「可能性がない」と感じるのだろう。
私は叔母のクローゼットにファンタスティックな靴が眠っているのを知っている。
対象が自分の好きな物事であれば、
その諦めもひと際深くなるのかも知れない。


キラキラしたショーウインドウを無表情に眺める叔母。
叔母には子供がいない。
だから、可愛がってくれるけど。
叔母の姉の娘である私のことも、
こんな表情で眺めていることがあったのかもしれない
と、その時思ったことを


そのキラキラ靴店ショーウインドウの前を通るたび
思い出したりして歩く。


靴というのは特別なものだ。
洒落た靴はスペシャルに人を選ぶ。
母性以外の
いろんな条件がそろってないといけない。
そこをクリアできた人だけが履けるアイテム。

シンデレラの物語で靴がキーワードになっていることも
ただの偶然でなんかでは、無い。