血色

escargotskin2011-08-03

時間にしたら
ほんの数分なのだろうけどじーっと見てるからか
堪えてるからか
採血の瞬間はとても長く感じる。
「親指を中に入れてグーにして下さい、ちょっとチクッとしますよ。」
と言われて

ムニュリと注射針は易々と血管に入り込んで
注射器のなかに赤紫の液体が踊るように流れ込んでいく。


こんなのが入ってたんだ!
と当たり前のことながら
自分の血の色を新鮮な気持ちで見る。
途中から血の出具合が余り良くなくなる。
指先がじわじわと痺れはじめる。


「はい、力抜いてパーにしてください。」
手をひらく。
それでも血の具合は変わらない。
血の色ってやっぱり綺麗だな、などと思いながら
注射器の中にゆっくり溜まってゆく液体を凝視する。

一定の量までゆくと
注射針が抜かれて、こんどはその注射針を
分厚いゴムの蓋の試験管に刺された。
机の上で注射器から試験管に移し替えられて
注射器は少し白色がかったプラスチックだけど
試験管は透明なガラスなので
血の色がより鮮やかになった。
やっぱり、くぐもった赤紫だった。