浮草

escargotskin2011-07-20

学校が嫌いだった。
家も嫌いだった。


嫌いな学校が終ると
嫌いな家に帰るのが嫌だった。


幸い高校は繁華街の中にあったので
本屋さんやレコード屋さん(古い!)や服屋さんをただ見て回った。
お金が無かったので喫茶店などには行かなかった。
疲れ易い体質なので、しんどくなると
辺り構わず座った。
レコード屋の床に座ってレコードをみたりしていると
レコード屋のオヤジさんが見るに見かねたような
憤りを込めて質問してきた。
『君達はどうしてそんな昔のレコードばかり聞くんだ?』
『今を生きてるんだから、今の音楽を聞け!』


だってここは中古レコード屋さんだよ。
行きたい場所なんてないんだよ。
生きる場所がわからないんだよ。
このやるせなさを
行き場の無さを
殉職したロックミュージシャンや
それぞれの音楽の幸福な時代に
見いだしたいんだ。


今呼吸してる時代を謳歌できるほどならば
今の時代の音楽を聞いてる。
音楽は好きだけど、別に過去が好きな訳じゃない。


空気が吸いたいだけなんだ。
息がしたいだけなんだ。