生足

escargotskin2011-07-11

プチ鬱なのか、ずっと本を読んでいただけだった。
このままだとどんどん下がって気持ちが落ちていきそうな恐怖から、
旅行でも行けばなにか変わるかも知れないと
旅行会社のサイトを眺めてみる。
北海道っていったことないなと思って詳細をみると
レンタカー付き(私は免許持ってない)
カニ食べ放題(私は甲殻類アレルギー持ち)
などと、自分の行くところではなかったことに気が付く。

昨日は暑過ぎて渋谷駅のトイレで脱げるものは脱いでしまえと
パンストを脱いでしまった。
世間では流行っていても、普段生足で歩くこと等なかったけれど
たまらなく暑かった。
そして、駅のトイレは風もなく更に暑くて
一気に汗が出てきたのがわかった。
手を首にやると汗に濡れてピカリと光っている。
おもわず備え付けのトイレットペーパーで
手と首を拭く。
なんだか首が痒いような気がして
トイレの鏡でトイレットペーパーが付着していないかだけチェックだけして
手を洗って外へ出る。
歩いていると、誰か知らない人が声をかけてくる
「芸能プロダクションのモノですが、そういうお仕事興味ないですか?」
よくいるあれか〜と思って無言で歩いていると
「もう、どこかに所属されてるんですか?」と聞いてくる。
「いや、私結構もうトシなんで」と歩きながら応える。
昔、一時期友達だった女子達は結婚したり、離婚したり、子供を産んで育てたり
私の知らないあいだにそんなことをしていた事実を今更知ってもあまり驚きもしなくなった。
仲間意識もなくて、取り残された気分にもならないけれど
多少、本能も残っているから胸が騒ぐことはある。
あと何年産めるんだろう?
だけど、相手もないし。放射能だって日常にある今、DNAだって困惑する。
「大丈夫です、仕事はあります。名刺だけでも貰って下さい。」
大丈夫なんかじゃない、と思いながら名刺片手に改札を通った。
初台のザロフは静かだった。
コチコチと時計が鳴り、明らかに違う時間が流れていて
外の時間に乗り遅れている自分はレトロな時計の音に安堵を覚えた。
折り紙で折ってくれた薔薇に感動したりして、ゆったりと時間が流れていた。