毛皮

escargotskin2011-02-27

もう何年も着てないコートだけど、
今年こそは着ようとクリーニングに出したら、
思いのほか時間がかかってしまった。


去年はクリーニング屋さんに問い合わせたら
クリーニング代が39000円だと言われたので
新しいコートが買えそうじゃないかと
「やっぱりいいですー」と断ったまま
春になってしまった。


自分でなんとかする方法も
いろいろ試してはみたけれども
伯母さんの学生の頃のお下がりなので
30年以上の汚れや埃は
素人ではなかなか落ちるものではないようだ。
その侭で羽織ると鼻がむずむずしてくしゃみが止まらなくなってしまう。


それでも
学生の頃は、冬に羽織って学校に行っていた。
夜、道端で靴ひもがとけたのを結び直していたら
後ろから歩いてきた女の人が悲鳴をあげてしまった。
何事かと思ったが
「なにか得体の知れない怪物がもぞもぞ動いているようにみえた」
らしい…
確かに、道を歩いていて黒くてよく分からない
モジャモジャものが、うごうごしている絵柄は怖い。
いつかまた、このコートを着る来た折りには
そのあたりには気をつけねば。


39000よりはずっとましだったから。
今年はすぐ近所のクリーニング店に思い切ってだしてみた。
引き取りを待っていたら
今冬もそろそろ、春めいてきてしまった。


安物なので重量がある。
着ると肩が凝るし
年を重ねてしまうと
袖を通すことは難しくなりそうだけれども
いつになれば、着れるんだろうかと考えてしまう。


今の服は安いし軽いし着心地も良くて
技術も進化していてぺらぺらでも暖かくて感心してしまう。
だからと言って、古いものを簡単に捨ててしまう気分にはなれなくて。
そうやって、割り切って生きてゆければいいなと憧れはするけれども
古いものにも、それなりの捨て難い良さがあると思うから。